博物館で栽培している相模川産のカワラノギクが今、結実しています。
昨年の台風19号による大水で、市内緑区にある保全圃場の一部が流失しました。
そこで、博物館で育てている株のタネを播いたり、栽培して発芽した株を移植しようと考えています。
タネはこんな形です。冠毛(かんもう)と呼ばれる綿毛はまばらで毛足も短いので、タンポポのように空中に浮かぶことはありません。
河原の丸石の隙間に引っかかるための毛ではないかと言われています。
大水が出た後の河原は、栄養分がたっぷりあります。きっと今年から来年にかけて、立派な株に成長してくれるはずです。
ところで、カワラノギクは開花すると枯れてしまいます。
でも博物館では冬越しの株がいくつもあります。
タンポポの葉のように、地面近くの低いところに葉を広げて冬越しする葉のことをロゼットと言いますが、カワラノギクのロゼットは、地上茎が少し伸びて地面に着かない独特の形態です。
これは、ゴロゴロと丸石が敷き詰められた河原では当然の形で、石の隙間から発芽して伸びるためです。また、暑い時期には直射日光で焼けた石の表面に当たらない工夫とも言われています。「河原」と名の付く植物ならではの工夫ですね。