黄色いけどアオジ

博物館の周辺の樹林には、林床(りんしょう)がヤブになっている場所が少なくありません。冬、そんな場所に決まってやって来るのがアオジという鳥です。

アオジ(オス)

上の写真の個体はオスですが、どこがアオジ?という色合いです。「森の木々が青々と茂り・・」というように、もともと「あお」は、現在の緑と青を含む色合いを指していました。古語ではさらに広く、寒色系の色全体を「あお」と呼んでいたそうで、灰色も青も緑も、「あお」となります。
アオジの頭はややオリーブ色がかった灰色で、これを指して「あお」となったようです。ちなみにメスはこちらです。

アオジ(メス)

「あお」というより、黄色が目立ちますし、実際、アオジの識別には胸の黄色が決め手になります。
ただ、鳥の名前には現在の青色ではない「あお」がよく使われています。下の写真の鳥はアオサギです。

アオサギ

灰色の部分は確かに青灰色(せいかいしょく)ですが、青色ではないですね。ほかにも、緑色のアオゲラというキツツキ、アオバトという緑色のハトなど・・。
逆に、青い鳥はオオルリ、コルリ、ルリビタキと、瑠璃(るり)がついています。比較的新しい時代に和名が付けられた海外の鳥のアオガラやアオショウビンは見事な青色ですが、古語で表現されなかったということなのでしょう。
なお、方言の古語の中には「あお」に黄色も含まれていたという説もあるので、アオジの種名はそこに由来している可能性もあります。

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