野草の中には違う種類なのに、やたらにそっくりなもの同士がいたりします。そういう難しい識別に喜んでチャレンジするのが野草マニアということになります。どの分野にも、他の人から見ればどうでも良さそうな違いを見つけて楽しむ愛好家がいて、それがマニアの世界と言えるでしょう。
さて、道端にもそんな植物が数え切れないくらいあります。まずはこちらの2枚の写真を見て下さい。
花はそっくりで、確かに近縁種ではあります。上はトキワハゼで下はムラサキサギゴケと言います。
何が違うかというと、見た目以上に生活史が異なります。トキワハゼは一年草、または越年草(おつねんそう)、ムラサキサギゴケは多年草なのです。越年草とは、前年の秋に発芽して冬を越し、春以降に開花、結実すると枯れてしまう植物のことです。トキワ(常葉)ハゼという名は、冬に葉を残して越冬し、花期も長いために一年中葉があるように見えるためについた名です。
一方、ムラサキサギゴケは多年草で、匍匐枝(ほふくし)と言って、翌年に根を張って株を形成するための茎が出るのが特徴です。
トキワハゼよりムラサキサギゴケの方が少し花が大きいという違いもありますが、この匍匐枝や、花茎も少し這うように伸びる点がムラサキサギゴケの特徴となります。
次はこちら。極小の花ですが、よく見るとワスレナグサに形も色もよく似たかわいい花です。キュウリグサと言って、今、あちらこちらの道端で咲いています。
ほんとうに似ているのはワスレナグサとではなく、下の写真の植物です。こちらはハナイバナ。
どちらも花は直径2ミリメートルほどの小さな植物ですが、キュウリグサは成長するとこんなふうに、花が咲きながら花茎を伸ばして10センチメートル以上になります。
こうやって比べてみるとわかりやすいのですが、毎年春にこの二つの植物を見ると、どっちがどっちだったのか、頭の中で記憶を整理しなおしています。
ちなみにキュウリグサは、葉や茎を揉むとキュウリのようなにおいがするから、という名の由来なのですが・・今ひとつ首をかしげてしまいます。みなさんはどう感じるでしょうか。道端で見つけたらチャレンジしてみてください。