この季節、ちょっと開けた芝生や草地の上空を、ブーンという羽音を立てながら大きな昆虫が飛んでいます。
黒くてぷっくりしたお尻がかわいいですね。この昆虫は、クマバチ(別名クマンバチ、キムネクマバチ)です。大きさといい、羽音といい、何よりハチということでどう猛、危険な昆虫と思われがちですが・・少なくともこうして飛んでいるクマバチに危険はありません。というのも、飛んでいるのはオスで、オスに毒針は無いからです。オスはなわばりを張り、交尾相手のメスが近づくのを待っているのです。見張り中なので、よく見ているとあちこち向きを変えています。
そして、メスばかりでなく、ほかの昆虫が飛んで近づいてくるとすごい速さで近づいてメスかどうか、あるいはライバルのオスかどうか確かめます。子どもの頃、この習性を利用した遊びで、小石を近くに投げてはクマバチが追いかけるのを見るということを繰り返していました。今思うと真剣なオスには可哀想なことをしていましたが、おかげでクマバチの習性を知ることができました。
クマバチは人間には無害で、スズメバチやアシナガバチのような攻撃性はありません。メスは毒針を持っていますが、よほどつかんでいじめたりしなければ刺すことはありません。そんなクマバチが正面を向くと・・
マンガの悪キャラ(しかも見た目のわりにおっちょこちょい)そのものです。憎めない顔つきです。
ちなみに、5月初め頃に咲くフジの花は、クマバチに花粉を運んでもらうように特化しているそうです。クマバチ媒花と言えます。
フジにとって、クマバチはなくてはならない昆虫なのです。生きもの同士のつながりを感じますね。