六地蔵 いつの時代も 道しるべ
相模原北公園の東側から園外に出て、地元ではハケ坂と呼ばれるゆるやかな坂を下ったところにこの絵札の六地蔵が並んでいます。ここは緑区橋本や大島、あるいは中央区上溝など、四方に通じる旧道で、六地蔵があることからこの付近のことは「ロクジゾウ」と呼ばれ、近くのバス停や交差点の名称も「六地蔵」です。
市内には多くの石仏が見られますが、その中でも地蔵菩薩はもっとも馴染みのあるものの一つです。特に地蔵は、亡くなった人が死後に赴く六つの世界(六道[ロクドウ])で受ける苦しみから救うという信仰から寺院や墓地に多くあるほか、路傍など各地に建てられています。この六地蔵は、明和2年(1765)の造立です。
六地蔵は、絵札や写真のように一体ずつ別々で六体あるほかに、市内では一つの石の一面に二体ずつ彫り、三面で六地蔵となる形式のものがあります。こうした一石に彫られた六地蔵は津久井地域にも多く、反対に例えば平塚などの県南部にはほとんど分布していないと言われています。写真は同じく下九沢地区のものです。
ところで、この六地蔵のところには他にもいくつかの石仏が建てられています。そのうちの一つが、絵札の左側に見える「徳本念仏塔(トクホンネンブツトウ)で、特徴的な書体で「南無阿弥陀仏」と記されています。徳本は、江戸時代後期に各地に念仏を広めた僧侶で、相模原にも文化14年(1817)に訪れています。徳本念仏塔は市内各地にあり、24基が市の登録有形民俗文化財となっています。
こうした石仏はさまざまな地域の歴史や文化を示しており、かるたが地域に関心を持つきっかけになれば幸いです。
今回紹介した六地蔵の場所はこちらです。
*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(8/31まで休館の予定) *貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせくださ い(042-750-8030) *貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってくだ さい。