6月1日は、釣り好きの人々がまちに待った鮎漁の解禁の日です。毎年この時期には、多くの釣り人が川を訪れ、釣り糸を垂れる様子が新聞やテレビで伝えられます。
この欄でたびたび取り上げている文化財記録映画では、第11作として平成4年(1992)度に「相模原の川漁」を製作しています。この映画では、相模川で古くから行われ、当時すでに見られなくなっていた多くの漁の方法を含めて撮影しています。これまでの文化財記録映画での撮影と同様に、今回もモノクロ写真の紹介で、撮影は平成4年度です。
相模川での漁の中心は鮎で、鮎漁には大きく分けて釣りと網によるものがあります。釣りは、竿(さお)を流れに沿って動かすコロガシやおとりの鮎を使うトモヅリなどがあります。写真は、市内で広く行われていたコロガシで、川上から川下に竿を動かします。
網漁では、川に投げ入れる投網(とあみ)がよく見られ、川の中に入って行うコシブチと船の上から投げるフナウチがあります。写真の上側がコシブチ、下がフナウチですが、ニタンブチで船に乗った二人が順に投網を打っています。
網漁には、投網のほかにもいくつかのものがあり、鮎に限らずさまざまな魚を取りました。これらの網漁は、撮影当時はすでにほとんど行われておらず、映画製作に際して再現されました。写真は、上から鮎を狙うマチビキ、雑魚を取るヨドスクイ、ヨツデアミを使ったザッコスクイです。
川漁では、鮎のほかにウナギも売れるものとして重要でした。ウナギは、川の水の中に鈎(はり)をしかけておくこともありましたが、ウナギド(ウナギドウ・モジリ)と呼ばれる竹を編んだもので取ることも行われました。上の写真の籠の前にあるのがウナギドで、下が川に仕掛けているところです。
映画では撮影が難しく実現できなかったものもありますが、それでも地域の伝統的な漁の方法などを記録したものとして貴重です。文化財記録映画は、博物館でビデオテープの視聴が、また、視聴覚ライブラリーでDVDでの視聴・貸し出しができます(現在、休館中)。