「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No.11・相模原にも鵜飼いがあった)

鵜飼い(うかい)というと現在では岐阜県の長良川が有名ですが、かつては全国で行われていました。実は相模川でも、第二次世界大戦以前に南区当麻付近から上流の山梨県大月市にかけてと、相模川支流の道志川で鵜飼いが行われていたことが知られています。

写真は、津久井郷土資料室旧蔵の絵葉書です。「相模川之景」及び「武相国境大タルミ下相模川鵜飼之景」と記されており、鵜を持つ漁師や川に入って鵜を操っている様子が写されています。さすがに博物館建設準備が始まった昭和56年頃には、相模川での鵜飼いは行われておらず、こうして残された写真がかつての状況を伝えています。

その一方で、中央区田名では昭和35年(1960)頃まで、相模川での川遊びを目的に訪れる観光用の鵜飼いが行われており、体験者がいらっしゃいました。調査では、その方から当時の鵜飼いのやり方などのお話しをお聞きするとともに、獲った鮎を飲み込まないように鵜に取り付けるテナワを作っていただきました。
写真は昭和62年(1987)11月撮影で、テナワを作っている様子と、鵜に見立てたものに実際にテナワをかけているところです。

鵜飼いの際に使用する道具も、その時に寄贈していただきました。次の写真は、鵜を川まで持っていく際に入れるウカゴで、ウカゴはすでに実物がなかったものの、籠作りの経験のある方に形などを指導していただいて製作しました。カゴには二匹の鵜が入ります。
その下は鮎を逃がさないように集めるための網で、写真撮影のためたたんでいますが、長さは15~16尋(ひろ。一尋は1.8m)あり、幅は40㎝ほどです。鮎は鵜に追われても飛び跳ねたりもぐったりしないので、この幅で大丈夫でした。

地元で鵜飼いが行われていたと聞くと驚きますが、現在では知る人も少なくなった地域のさまざまな歴史や文化を伝える写真を今後とも紹介していきたいと思います。

カテゴリー: 民俗むかしの写真, 考古・歴史・民俗 タグ: パーマリンク