おかいこさま飼育中(14日目 4齢 葉のコンディション)

6月3日に掃き立てしてから6月16日で2週間が経ちました。14日(日)には3回目の眠(みん)に入り、15日(月)朝にはほとんどのカイコが脱皮して4齢になっていました。

4齢のカイコ 3センチメートルを超えました

4齢になると食べる量もだいぶ多くなり、葉を噛む音もメリメリ、パリパリと大きく聞こえてきます。

すっかりカイコらしい色と体つきになりました

といってもこれは終齢、つまり5齢の序章のようなものです。5齢期に食べる量はすさまじく、カイコが一生の間に食べるクワ(といっても幼虫期しか食べませんが)のうち、8割を5齢の1週間で食べると言われています。5齢でどれほどたくさんのクワを食べられるかで、繭の大きさは決まるのです。
ところで、カイコにあげるクワの葉はどんな状態のものが良いのでしょうか。それは、一言で言えば、2年生枝(にねんせいし)についた葉です。

桑畑のクワ 二年生枝が長く伸びている(市内緑区)

クワの枝は、伸びてから2年目くらいまでは緑色で、まだ木化(もくか)が進んでいません。2年生枝は前年から枝をするすると伸ばし、たくさんの葉芽(ようが)をつけています。

横向きのベージュ色が3年生枝、左斜め上に伸びた緑色が2年生枝

さらに2年生枝の葉は柔らかくて水分が多く、カイコが食べやすいのです。特に若齢幼虫(1齢~3齢くらい)は、枝の上の方の、開いて間もない葉、あるいは1年生枝のまだ伸びきっていない枝に着いた、特に柔らかい葉を選んであげます。

2年生枝の枝先の瑞々しい葉 1齢幼虫にはこの部分の葉をあげる

一方、伸長して年月の経った枝についた葉は、大きくて餌としての量的には良いのですが、堅くて5齢幼虫くらいにならないと食べる速度が落ちてしまいます。

大木の古い枝についたクワの葉

かつて市内にもたくさんあった桑畑では、刈り取りしやすいようにという意味もありますが、株を低く刈り込みます。春の給桑時に2年生枝を切っておくと、その年の内に脇から1年生枝が伸びていきます。そうすると、来年の2年生枝として準備ができるわけです。また、この2年生枝に大きく切れ込みの少ない葉(つまり、カイコが食べる面積の大きな葉)をつける品種も開発されてきました。良い繭を作るには、餌となるクワも研究されていたのです。
今はなかなかそうしたコンディションの良い葉をとるのが難しく、博物館のクワの木だけでは賄(まかな)えず、5齢になると飼育担当者は良いクワの葉を求めてあちらこちらへ飛び回る日々となるのです。

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