先日、市内のある公園の水場でカルガモの親子を見ました。
ふ化してまだ1週間程度でしょうか。ピィピィと鳴きながら水際で藻類などを食べたり、時には水中に潜ったりしています。親鳥は完全に潜水することはまず無いのですが、ヒナはジャポンと水に潜ります。
かわいらしい姿に、多くの人が足を止めてスマホなどで撮影していました。
ただ、中に餌を用意してきて、ずっと親鳥やヒナに与えようとしている人がいました。最初は警戒していたヒナも、次第に近くに寄って食べているようでした。親鳥は少し離れたところで警戒しています。この公園では飼育はしていませんので、このカルガモ親子は野鳥です。
野鳥への給餌(きゅうじ)は、食料事情の厳しい冬期に自宅の庭など、ごく限られた条件で行われるべきです。繁殖期の親子の野鳥への給餌をしてはいけません。それはなぜかというと、ヒナの警戒心や、食物の探索能力が正しく育まれないからです。下の写真は、この親子の全体を写しています。
ヒナの数は6羽。カルガモは1回の繁殖で10個以上の卵を産みます。1週間ほどの間に、すでにヒナの数は半分ほどに減っています。人間が餌を与えようと与えまいと、ネコやカラスなどさまざまな外敵に襲われて減っていきます。しかし、餌を与えられると、その場所に依存し、警戒心も低くなり、襲われる確率が高まります。もちろん人間がそばにいる間は襲われることはまずありませんが、四六時中ついているわけではないので、早朝や夜間に襲われてしまいます。
人間と野生動物が適度な距離感を失うと、必ず軋轢(あつれき)が生じ、野生動物の生存に危機的な状況を招きます。繁殖期の野鳥を餌付けしてはいけません。