掃き立てから36日目、6月29日から繭を作り始めて10日目です。最初の方に作り始めた繭を博物館の熱風乾燥機でカラカラに乾燥させました。
中の蛹(さなぎ)は死んでしまっていますが、こうして乾燥させると、繭はこのままずっと保存できます。
蔟(まぶし)に、きれいに繭が作られています。ちなみに今年は例年の倍くらいの飼育数で、600頭以上育てました。下の写真でも半数くらいです。
蔟も保管していた在庫だけでは足りないとわかったため、学習指導員の協力を得て、新たに17個ほど作りました。プリンター用紙の空き箱を開き,短冊状に切って井桁(いげた)に組んだものです。これまでより奥行きを深くしたところ(約6cm)、カイコの入り具合も良くなったように感じられました。
こちらは乾燥したての今回の繭です。育てた品種(「ひたち×にしき」と「春嶺×鏡月」)は、いずれも俵形の繭をつくる実用品種なのですが、よく見ると形はいろいろあります。右の繭は若干くびれがあり、ピーナッツ型のくびれが特徴である日本の在来品種の名残が表れています。
こちらは先端が少し尖った形です。
現在主流の実用品種は、いずれも品種間の雑種第一世代を使います。雑種強勢によって、大きく丈夫なカイコを育てられるからです。繭の形質は本来、品種の大きな特徴なのですが、品種間雑種であるため繭形に若干のバラツキが生じ、そのかわり、全体として大きく繊維の量が多い繭を作ってくれます。
これらの繭は、2月に当館で開催予定の繭うさぎ作りのイベントなどで活用する予定です。