7月の豪雨災害で被災した人吉城歴史館所蔵の植物標本レスキュー作業を、7月31日から本格的に始めました。
フェイスシールド、マスク、ニトリル手袋で防備した相模原植物調査会のみなさんが、慎重に標本の束を開封します。
まずは泥のかぶり方が一番ひどい状態のものを仮洗浄します。
比較的泥が少ないものも、水をたっぷり含んでいるので、大切な標本ラベルがはがれていたりします。これが標本と離ればなれになってしまうことは絶対に避けなくてはいけないので、一番神経を使うところです。
絵筆を使って慎重に泥を洗い落とします。
こうして洗った標本を一つずつ水を切り、温風乾燥機に入れて乾燥します。これでとりあえずはカビの増殖を防げますが、まだ泥を含んでいるため、状態が悪いものはさらに洗浄と乾燥を行います。くるまれた新聞紙を含めて、届いているもの全てを完全に人吉市へお返しするため、標本のカケラ一つも見落とさないように集中して作業しています。
相模原植物調査会のみなさんは、2011年の東日本大震災の時にも陸前高田市立博物館の津波被災標本のレスキューを行いました。その時の作業を思い出しつつ、お互いに作業手順を確認しながら進めています。半世紀以上前の貴重な学術資料を後世に残すための作業、これからしばらく続きます。