博物館のクワの木にクワコがいると、守衛さんが教えてくれました。
クワコは、カイコに最も近い仲間とされる野生の蛾です。幼虫も成虫も形がよく似ていて、何千年か昔、クワコの祖先を人間が飼育し始めて、改良を重ねてカイコになったのではないかと推定されています。
クワコの幼虫は、小さいうちはアゲハなどと同じように、小鳥のフンに擬態します。上の写真は先週8月8日に撮影したものです。すでに4齢になり、小鳥のフンというには少々大きくなっていますが、1齢から3齢までは、葉の上にいると、大きさも模様も本当に鳥のフンに見える見事な擬態です。
そして8月14日、クワコは5齢になっていました。
この大きさになるとさすがに小鳥のフンには見えないので、今度は枝に擬態しています。ちょっと枝の方が細くて擬態は不十分ですが、模様の似せ方は見事です。
そして、こんな風に頭を上に伸ばしてまっすぐになり、クワの枝になりすましているクワコですが・・
頭を少しつついたりすると、頭を下げて眼状紋(がんじょうもん)を見せます。
おお!怖い顔!
目玉模様で外敵を驚かすのも、昆虫や鳥などの擬態にはよくあるパターンです。しかし、人間から見るとちょっとかわいくも見えてしまいますね。これが外敵(特に鳥)に、どれほどの効果があるのかわかりません。でも、このように進化してきたからには、それなりの効果があるのでしょう。そしてカイコに残る眼状紋も、野生だったときの遺伝子の名残なのですね。
さて、同じ木には、すでに繭もありました。葉を丸めてその中に作られています。
2週間ほどすると成虫が出てくるはずです。もしタイミング良く見つけられたら紹介したいと思います。