美しいけど・・ひっつきむし

博物館周辺では今、こんな花が咲いています。とても小さくて大きさは5ミリメートルほどですが、美しい花です。

ヌスビトハギの花

これは、ヌスビトハギの花です。形も色も、ハギと名に付くのがよくわかります。林内の薄暗いところに静かに咲く姿は、小さな灯火(ともしび)のようです。
ただし、この花は風流なだけでは済みません。よく見ると、花が終わりかけの株にはこんなものが付いています。

緑色の半円形の部分が若い果実

実り始めの果実です。これが秋になって実ると、ちょっと触っただけでもポロリとはずれ、しかも、衣服などにぴったりとくっつきます。動物の毛などにひっついて種子を散布する動物散布型の植物、いわゆる「ひっつきむし」の一つです。考えてみると、種名も「盗人萩(ぬすびとはぎ)」とはちょっと物騒ですね。名の由来は、人が気付かぬうちに取りついているからなど、諸説あります。

実った果実

微細なため肉眼で見えませんが、表面に鈎(かぎ)状の細かい毛がびっしりと生えていて、それがマジックテープのような作用でくっつきます。肉眼で見えるほどの大きな刺でひっかかるようにつくものなどと違い、面でひっついているため、ちょっと手で払ったくらいでは取れません。洗濯をしてもなおひっついていることがあるくらいです。
粘着性の液でひっつくものに比べるとまだ良いかもしれませんが、やっかいなひっつきむしです。花の可憐さに惑わされてはいけませんね。

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