「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No37・一つ目小僧がやってくる)

12月8日と年明けの2月8日はヨウカゾウといわれる日で、両日とも一つ目小僧が来る日とされていました。「悪いことをすると一つ目小僧に連れて行かれる」として、子ども心にも怖いものでした。
そのため一つ目小僧が来ないように、目が多い笊(ざる)や籠(かご)を玄関に吊るしたり、竿の先に掛けて立てたりしました。籠類を吊るすのは、目が多いため目が一つしかない一つ目小僧が驚いて逃げかえるためです。

写真は第9作目の文化財記録映画「続・相模原の年中行事」製作時に撮影したもので、芋を洗う時などに使うイモフリメカイを竹竿の先に掛けて立てています(平成元年[1989]12月・南区上鶴間本町)。

次の写真は緑区相原で、この家では玄関の脇に吊るしています。また、一つ目小僧が家の中に入らないように、いやな匂いのするグミの木を燃やすことがあり、写真はストーブで燃やしているところです。さらに、この日の夕飯にはケンチン汁を食べました(いずれも昭和63年[1988]2月)。

近年でもこうした行事を行う家があり、写真は平成24年(2012)12月・緑区根小屋での撮影です。イモフリメカイとフルイが吊るされており、フルイは近年のものですが目が多ければよいとして、この家では二つ吊るすそうです。

また、この日に下駄などの履物を外に出しっぱなしにしておくと、一つ目小僧に判を押されてしまい、それを履くと病気になるので必ず履物を家の中にしまいました。
師走に入り、ヨウカゾウも終わると正月は目の前です。次回からは正月の準備や正月行事の写真を紹介します。

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