「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No39・年神様の棚)

前回は、文化財記録映画「続・相模原の年中行事」に収録された正月準備としてしめ縄作りも紹介しましたが、もちろん映画以外にも正月飾りの写真を各地で撮影しています。

次の五枚の写真は昭和60年(1985)12月30日に中央区田名で、さまざまな形のしめ縄を作って実際に取り付けるまでを撮影させていただきました。まず神棚用のものを作り、それを飾ったところです。

お飾りは多くの神仏に供え、写真では玄関や井戸に取り付けています。

家の中の神棚とは別に、正月を迎えるに当たり年神を祀るための臨時の棚が作られることがあり、その年の縁起の良い方向である恵方(えほう)の方向に作ったり、その方向に年神の棚を向けたりしました。次の写真も、やはり田名の同じ家の年神棚です。

そして、市内では叺(かます)を年神棚に敷くことがあり、叺は藁むしろを二つに折り左右両端を縄でつづったもので、米麦などの穀物や肥料などを入れるのに使いました。年神棚に叺を使うことは、特に津久井地域から相模原地域にかけて見られ、県内の他の地域からの報告はあまりないことが知られています。

次の写真は年神棚を飾っているところで、叺が敷かれているのがよく分かります(昭和60年[1985]12月12日・緑区大島)。また、下の写真の緑区相原では、神棚の前側に年神棚を吊るしていますが、太いしめ縄とともに叺があるのが分かります(昭和60年[1985]12月26日・緑区相原)。

こうして正月飾りや餅つきも終わり、来るべき新たな年を迎える準備が整いました。この職員ブログ「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」も今年は本欄が最後となります。お読みいただき、まことにありがとうございました。来年もさまざまな内容の写真を取り上げますので、よろしくお願い申し上げます。

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