「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No40・仕事始め)

 明けましておめでとうございます。今年もこの職員ブログともども博物館をよろしくお願い申し上げます。

 正月三が日が過ぎると、さまざまな仕事が始まっていきます。市内でかつて広く見られたのが4日のヤマイリ(ヤマハジメ)で、その年初めてヤマ(平地林の雑木林)に入り、堆肥用の落ち葉を取ったり、薪を伐って囲炉裏で燃やしたりしました。
 写真は南区古淵で、お神酒を入れた竹筒と紙垂(しで)を供えています(昭和60年[1985]1月4日撮影)。

                  

                  

 11日も仕事始めとして、縄ないをする日でした。これも南区古淵の同じ家で撮影させていただいたもので、大きな臼の上で藁を柔らかくするために槌(つち)で叩いています。
 縄ないはなるべく朝早く行い、養蚕に用いる桑の木の枝を束ねるスゲーと呼ばれる縄を作りました(同年1月11日。以下の四枚の写真はすべて同日撮影)。なお、早く正月2日に縄ないをすることもありました。

                  

                  

 同じく11日に行われたのが、その年に初めて畑を耕すウナイゾメ(ウナイハジメ)です。その年の良いといわれる方向に向かって畑を鍬で少し耕し、酒や米などを供えて五穀豊穣を祈ります。
 次の写真の上は緑区相原で、ここでは順に三鍬ずつ三回耕し、下は古淵のヤマイリなどを紹介したのと同じ家で、耕したところで拝礼しています。

                  

                  

 そして、使った鍬を洗って酒や米をお供えすることがあり、写真は緑区大島です(昭和61年[1986]1月11日)が、大晦日にこうした鍬や鎌などの農具をきれいにして供え物をする地区もありました。

                  

 正月は日を追ってさまざまな行事があり、これからしばらく紹介していきたいと思います。

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