相模原市緑区で、自生のフクジュソウが開花しました。栽培される山野草としてとても人気があるので、住宅地の庭先などでも1月末くらいから咲き始めています。しかし、この地のフクジュソウは神奈川県内でも極めて珍しい自生地(人が持ち込んだものでなく、もともと分布している場所)とされています。
まだ日当たりの良い南向きの斜面だけで咲いていますが、日陰の場所などがこれから順次咲くので3月まで開花が続きます。
フクジュソウのまぶしいほど黄色い花弁状の部分は、萼片(がくへん)です。これはキンポウゲ科の植物に共通した特徴で、いわゆる花びら(花弁)はありません。
真冬に咲き始めるため、花粉を運んでくれる昆虫がまだ少ない状況です。昆虫に見つけてもらいやすいよう目立つだけでなく、放射状でお椀型に開く萼は、パラボラアンテナのような作用で熱を集めていると言われています。蜜こそ出しませんが、花粉は栄養価が高く、昆虫にとってはごちそうでもあります。暖房付きのレストランでおもてなしするかわりに、他の花へ花粉を運んでもらおうというわけです。
そんな理由で光沢の強い萼片は、晴れた日に写真を撮ろうとするとちょっと難しい素材です。花に合わせて明るさを調整すると、ほかが真っ暗になってしまうからです。写真を撮る側の本心としては、薄曇り気味で、地面にちょっぴり雪があれば一番なのですが・・。そんな人間の勝手な欲に関係なく、太陽に向かって咲くフクジュソウはやっぱり力強く美しい花でした。