5月9日(日)まで、当館では考古企画展「変化の時代を生きた縄文人―相模原市域の縄文時代中・後期文化―」を開催しています。展示期間中の毎週火曜日に「今週の一品」と題して、展示資料の中から学芸員が選りすぐった一品を紹介しています。
第2回目は土偶(どぐう)です。土偶とは粘土を素材とする素焼きの人形で、縄文時代を代表する祭祀具(さいしぐ)の一つです。一般的には妊娠した女性を表現しているとされ、自然の豊かな実りを象徴するものであったと理解されます。
写真は、左が緑区の川尻中村(かわしりなかむら)遺跡、右が中央区の田名花ヶ谷戸(たなはながやと)遺跡から出土した土偶です。いずれも縄文時代中期後葉(およそ5,000~4,400年前)の土偶で、この時期の土偶は、腕を横に広げた十字型の小型土偶が多く、簡略化された足が特徴的で、腰から前や横に突き出す突起として表現されています。また、顔面の表現も簡略化され、目や口が刺突で描かれています。写真の土偶で注目していただきたいのが、頭の部分です。いずれも鉢巻を巻いたような表現が見られるコンビのような土偶たちです。鉢巻土偶は、相模原市域から多摩地域に分布する地域色の強い土偶で、鉢巻土偶の保有を通じた人々の結びつきがあったのかもしれません。
今回ご紹介した資料は、考古企画展「変化の時代を生きた縄文人―相模原市域の縄文時代中・後期文化―」の「5 豊かな恵みを願って」、「おわりに 変化の時代を生きた縄文人」のコーナーで展示しています。