雨乞いの 願をかけた ばんばあ石
中央区・田名八幡宮境内の奥には天地大明神がまつられ、絵札に描かれたようにそのかたわらに「ばんばあ石」と「じんじい石」など三つの石が立っています。これらの石は、日照りが続いた際に相模川に沈めると、必ず雨が降るとする雨乞いの石で、その言われは『相模原市史民俗編』など多くの本に紹介されています。
市域は畑作を主とした農業を営んできた地域として、例えば夏場に雨が降らないと陸稲(おかぼ)に大きな影響が出るため雨乞いが行われました。そして、雨乞いの方法は田名のばんばあ石などのほかにも、例えば相州大山(そうしゅうおおやま)は、市内で広く雨乞いの山と考えられてきました。
大山は、標高約1250mと決して高い山でないものの、各地からそのきれいな山の姿を望むことができ、古くからいろいろな信仰を集めた霊山(れいざん)でした。次の写真は、博物館屋上の観測テラスから見た大山です。
大山への雨乞いは大山阿夫利(あふり)神社にお参りし、中腹にある二重滝から水を貰ってきて、その水を地元の神社に撒くなどしました。
また、市外の八王子市寺田町の榛名(はるな)神社や高尾山へ水を貰いに行くこともありましたが、地元では、緑区大島の諏訪明神にある雨乞い様の祠(ほこら)のほか、緑区川尻の金刀比羅宮(ことひらぐう)境内の池の水をかき回し、池ざらいをすれば雨が降ると言われました。
さらに、緑区・日連(ひづれ)神社にも雨乞い池があり、干ばつの時に清掃して雨を祈れば必ず降ると伝えられています。
このほかにも、石仏の地蔵やお寺の釣鐘を川に沈めるなど、雨乞いには各地にさまざまな方法があったことが報告されています。かるたに取り上げられている一つ一つの事柄はもちろん、そこから広げて、地域のさまざまな歴史や文化・自然に関心を持つきっかけにしていただければと願っています。
・このかるたは、当館のボランティア市民学芸員が2017年に制作したものです。
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