博物館には、自然・歴史展示室と天文展示室の二つの常設展示があります。その自然・歴史展示室の真ん中あたりに物置が展示されています。物置は、開口部から中の様子を見ることができます。
昭和11年(1936)に作られたこの物置は、博物館が開館する平成7年(1995)まで南区下溝の座間家にあったものです。
写真は移築前の平成7年の物置で、最初が表側、二枚目が裏側です。展示室には裏側もそのまま再現して展示していますので、物置の横から裏側に回ってみてください。裏側に片付けられている丸太は、水田から刈り取った稲を掛けて干すために使われたものです。
物置の移築に当たっては、物置の柱や壁はもちろん。屋根や内部に納められていた道具類のほとんどすべてを寄贈していただきました。そのため基礎のコンクリート部分を除き、基本的には移築直前の姿をとどめています。
最初の写真は、物置向かって右側の移築前、次の写真は博物館での現在の様子です。ゴミなどは片付けていますが、内部も移築前の様子を再現しています。
また、移築前の物置内部に道具類が置かれていた状況をパネルで示しています。実は、展示作業の中でも道具を元にあった場所に戻していくのはかなり大変で、展示室全体でももっとも時間がかかった作業の一つでした。
この物置は、かつての農業による生活ではさまざまな道具が必要だったことや、物置の中の道具が置かれている様子を見ることで、当家や地域の農業の移り変わりがどのようなものであったのかをうかがうことができます。
是非、実際に展示室でリアルな物置をご覧ください。
※現在、物置の内部に「堆肥(たいひ)づくりの道具」を展示していますが、これらは 移築前にあったものではありません。
物置についての詳しい解説は、『相模原市立博物館常設展示解説書』をご覧ください。