シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介㉟でいらぼっち

でいらぼっちの足跡が 鹿沼の池になり (でいらぼっちのあしあとが かぬまのいけになり)

「デイラボッチ」は巨人の「ダイダラボッチ」のことです。
ダイダラボッチの伝説は、関東・中部地方を中心に、東北から四国まで広く分布します。
そのため、呼び方も地方ごとにたくさんあります。

ダイダラボッチで、もっとも有名なもののひとつは、ダイダラボッチが近江の国(現在の滋賀県)の土を運んで富士山を作り、土を運んだ跡が琵琶湖になった、という伝説です。
この巨人伝説は、山、池、沼など人々の生活の舞台となる土地の形成を説くものとされています。

相模原市内には、この巨人伝説に関連する場所がいくつもあります。
JR横浜線の淵野辺駅近くにある鹿沼公園の池に伝わる、デイラボッチの伝説はおおよそ次のようなものです。

鹿沼公園内にある説明看板

昔、デイラボッチという巨人が、富士山を背負って相模野にやってきた。あまりに重いので、大山に腰をおろして一休みしたところ、その間に富士山に根が生えてしまい、持ち上がらなくなってしまった。
仕方なく、デイラボッチは諦めて、そのまま立ち去った。
立ち上がろうとしたときに、力足を踏んでめり込んだ跡が「鹿沼」といわれ、また、口惜しがって地団駄(じだんだ)を踏んだので「じんだら沼」とも呼ばれた。

この「鹿沼」は、現在では鹿沼公園の「白鳥池」にその名残をみることができます。

鹿沼公園は鹿沼を埋め立てて設けられた公園です。
沼は埋め立てられてしまいましたが、鹿沼公園の中心部には池がつくられました。
この池は、今では「でいらぼっち伝説伝承地」として、市登録史跡となっています。

また「じんだら沼」は、近くの県道57号線に立てられた看板がその名残を伝えています。

このようにデイラボッチの足跡とされていた沼や窪地は、市内に何か所もあり、地名や標柱などがいくつか残っています。
ただ、多くは土地開発などによって、景観が大きく変わり、場所も特定できなくなっています。
そうした中で、鹿沼公園の白鳥池は、その名残を残す貴重な場所です。
博物館から徒歩15分ほどの場所ですので、博物館と一緒にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

・このかるたは、当館のボランティア市民学芸員が2017年に制作したものです。
・貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください。(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・手指の消毒などを必ず行ってください。

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