5月25日、博物館から一番近い保育園である大野村いつきの保育園の年長さんが、お散歩に来ていました。この保育園は昨年、「カイコ」や「はやぶさ2」をとおした交流を行っていて、今年もクワの木に興味深々の様子です。カイコの飼育は来月から始まるため、カイコの代わりに今日は一緒にクワコを観察することにしました。
大きくなったクワコが、クワの枝に擬態しているのを見た園児たちが、地面に腹ばいになって擬態の真似をしてくれています。
そんなことをして楽しんでいたのですが、ここでとんでもない事件が起きました。
どこからともなくアシナガバチが飛んできて、いきなりクワコを捕まえてしまったのです。あっという間に噛みちぎられ、肉団子にされていくクワコ。
子どもたちにはちょっと刺激が強いかなと心配したのですが、引率の先生がすかさず「アシナガバチも生きていかなくちゃいけないし、きっと子育てしてるから悪いことしてるわけじゃないんだよ」とおっしゃり、それならばと、じっくり観察することにしました。数分で肉団子を持って飛び去り、その後を追う園児たち。
もちろん追い付かないのですが、森の奥へ飛んで行ったのを見届けました。
アシナガバチは、運ぶのにちょうどよい大きさに切って肉団子にするのですが、その時、残りが枝から落ちました。アシナガバチが飛び去った後にその落とし物を探す園児たち。見つけた後はにおいをかいでみたりして、しっかり自然観察しています。
そしてしばらく見ていると、再びアシナガバチがやってきました。少し離れて観察していると、なんと先ほどクワコを狩った枝を探しています。残りがあることをわかっているのです。そして、しばらくして無いことがわかると、アシナガバチは真下を探し始めました。落ちた可能性も頭に入っているようです。なんという知能でしょうか。
園児たちも命のドラマを真剣に見ていて、さらに昆虫の能力の高さにも強烈な印象を持ったようでした。身近な自然にはまだまだいろいろな不思議があるのだと改めて気づかされました。