「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No62・文化財記録映画「神代神楽」)

前回の本ブログでは、神社などで行われてきた祭礼行事を紹介しましたが、祭礼で忘れてはならないものに神楽(かぐら)があります。今回取り上げるのは、昭和59年(1984)度制作の文化財記録映画第三作「相模原の神代神楽」です。もちろんすべての祭礼で神楽が見られたわけではありませんが、市内のいくつかの神社では式典の後に神楽が奉納され、祭礼をにぎやかに彩りました。

市内では中央区上溝に神代(じんだい)神楽を行う亀山社中があり、亀山家は江戸時代の中頃にはすでに神楽を行っていたと考えられ、専門の神楽師として、各神社の氏子からの依頼によって神楽を行ってきました。なお、ここでの神代神楽とは、仮面をつけ、セリフを言わずに神話を中心とした劇を演ずるスタイルを指します。

最初の写真は中央区田名八幡宮の神楽の上演です(9月1日)。市内の多くの神社には神楽殿があり、ここでも神楽殿で演じられる神楽を多くの観客が楽しんでいます。

 

映画では、本番だけでなく、舞台裏での準備の状況なども撮影されています。

神楽には多くの演目の中に登場する役があり、最初の写真は「三番叟(さんばそう)」で、舞台清めの意味で一番最初に舞われるものです。次の写真は、神々に交じって登場する二名の「もどき」です。道化(どうけ)役として、人を笑わせるようなおどけた動きをして、動作が決まっているそのほかの神々とは違って自由に振るまいます。

また、神楽師は神楽が行われる前の、拝殿などでの祭式の中で神前舞(しんぜんまい)も行っており、神前舞は面をつけずに舞います。

次の写真は、亀山家で映画の撮影をした際のもので、中央に三番叟、向かって左側のもどきとともに、右には太鼓や笛の囃子方(はやしかた)が見えています。さまざまな種類の囃子が舞台の上で演奏されます。


神楽を演じるためには多くの面や衣装が必要です。写真は、神々の役を演じる際にかぶる面のうちの一つで、ほかにももどきや動物などいろいろなものがありました。

映画では、一つ一つの演目をあらすじを追って紹介するよりは、上映の形式や身のこなしなどの所作(しょさ)、しきたりなどに重きを置いて撮影しており、そうした点から神楽を理解できるような構成となっています。

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