緑区太井・根小屋・小倉に広がる城山に所在した津久井城は、戦国時代の小田原北条家重臣であった内藤氏が城主でした。
貴重な地域遺産である津久井城跡の保存・活用を行うために、相模原市教育委員会文化財保護課、博物館、(公財)神奈川県公園協会の3者が連携を図り、各組織の市民ボランティアから有志を募り、2010(平成22)年から市民協働調査が行われています。
7月21日午前、市立博物館の地下の大会議室で第1回が行われ、令和3年度の調査体制、事業計画が説明されました。
その後、(公財)神奈川県公園協会の野口副園長と市教育委員会文化財保護課の齊藤学芸員により講座が行われました。
野口副園長の講座は戦国時代の「根小屋式山城」として整備された津久井城の歴史的な景観についてであり、津久井城の城主が内藤氏であったこと、本城曲輪、しんでん虎口(こぐち)、御屋敷曲輪など、どのような遺構が確認されているのかが紹介されました。
齊藤学芸員の講座は、市民協働調査の概要として今までの歩みと、測量調査および8回に渡る発掘調査が行われた城坂曲輪群5号曲輪について、どのような性格をもつ遺構があったのか紹介されました。
城坂曲輪群の協働調査の成果は令和3年3月に報告書として刊行されました。この報告書では1~4号曲輪と5号曲輪の調査がまとめられ、5号曲輪は庭園遺構に特化した曲輪であり16世紀後半の天正期に位置付けられています。
報告書に掲載されている城坂曲輪群5号曲輪からみつかった陶磁器、かわらけ、鉄製品も見学できるようにしました。
今年度の調査計画では、令和元年度まで調査していた5号曲輪の北東側にある6号曲輪が調査対象です。5号曲輪では池の跡があり、庭園として機能していたことが分かっています。それでは6号曲輪はどのような機能があったのか、今後の調査成果が期待されます。
これからも津久井城市民協働調査について、本ブログで紹介しますのでぜひご覧ください。本事業は新型コロナウィルス感染拡大防止のための措置及びご協力をいただいた上で実施しています。
本ブログの画像について、①は津久井町史 通史編 近世・近代・現代、②、③、⑩は『津久井城跡-城坂曲輪群1~5号曲輪の市民協働調査-』より引用しました。