7月19日、身近な山野を歩いては生きものを観察されている方から、相模原市内ではまだ確認されていなかった植物を見つけたと連絡がありました。緑区のその場所へ早速駆けつけてみると、山の中にひっそりとたたずんでいました。
その名はサガミラン。相模の名がついているのは、神奈川県内で最初に見いだされたからです。県内だけにあるわけではなくて、関東地方に広く分布しています。ただ、相模原市内では記録がなかったので、ちょっと嬉しい確認でした。
上の写真はつぼみの状態です。このランの花の寿命は短く、咲いたかと思うと1~数日でしぼんでしまいます。花がはっきりと開かないことも多々あります。開いてほしいと念じつつ、23日に再び訪れました。すると・・
19日に咲きそうだった花はすでに終わっていて、もう一つのつぼみの開花にはどうにか間に合いました。しっかりと開いた状態とは言えませんが、純白の花は、学名のCymbidium nipponicum(日本のシンビジウム)の名にふさわしい美しさです。
このランは、明瞭な葉が見られず、緑色の部分が少ないことからわかるように、菌従属栄養植物(光合成をほとんどせずに、樹木の根につく菌類に寄生する植物)です。この10年ほどの間に、こうした菌従属栄養植物が増加傾向にあるように感じられます。このランも来年は株が増えているかもしれないと期待を抱きながら、帰途につきました。