実りの秋、博物館お隣の樹林内でもたくさんの果実が実っています。その中でも、毎年その造形美に見とれてしまうのが、クサギです。
萼片(がくへん)はふつう、花弁を支えるための葉で、花が散ると一緒に脱落するか、果実散布の邪魔にならないように小さくしおれていきます。ところがクサギの萼片は、果実が熟す頃に星形に開き、なおかつ赤く染まります。これは、黒紫色に熟す果実本体を目立たせる役割があると言われています。
だったら果実が赤く熟せば良いものを・・しかしそれでは目立ち方が足りないのか、他の赤い実と紛れるのがイヤなのか・・とにかく手の込んだこの造形にはうなってしまいます。
ちなみに、真夏に咲くクサギの花は、純白で強い芳香を放ちます。
クサギは伐採地や崩落地のような、樹林が成立する前の明るい場所で真っ先に成長するのを好む樹木です。効率よくそうした場所で子孫が残せるように、動物たちへのアピールが強い植物なのかもしれません。