「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No87 どんど焼き・団子焼き②)

前回に引き続き、1月のどんど焼き(団子焼き)の写真を紹介します。

最初の写真は、緑区大島・上大島地区の団子焼きです。当時、上大島全体ではなく、普段から冠婚葬祭などの時にお互いに手伝いあう家々である講中(こうじゅう)単位で団子焼きを行っていて、そのため燃やすものも大きくはありません(平成18年[2006]1月9日撮影)。                                                                          

 

これに対して、自治会単位で大きな燃やすものを作るところもありました。次の写真は前回も紹介した南区大沼で、地区の広場に高さ数mに及ぶものを作り、燃やします。写真をよく見ると、燃えているものの前に何かあり、これは地域の道祖神(どうそじん)の石仏で、道祖神を点火の前に飾ります。道祖神は、普段は広場の一角にまつられていますが、取り外しできるようになっていて、三枚目の写真の左側の「奉献」と書かれた台石の上に、この日以外は置かれています(平成19年[2007]1月8日)。                                                                        

 

この行事は道祖神をまつるとされることが多く、道祖神を覆うように小屋状のものを作る地区があります。古くは小屋はもっと大きく、子どもたちが夜に小屋に泊まったこともあったと言われています。

次の写真は、これも前回に団子焼きをしている写真を掲載した南区中宿・下宿で、隣りの上宿と同様に藁で小屋を作っており、その横で団子を焼いていました。二枚目の団子焼きの写真の左側に、屋根が写っています(昭和62年[1987]1月14日)。                                                                          

 

最後の写真は南区当麻・原当麻地区で、ここでも道祖神の石仏の前に小屋が作られ、団子焼きは奥の広い場所で早朝に行われました。三枚目の写真で紙を持った男性が見えますが、この火で正月の書き初めを燃やそうとしているところです。どんど焼きでは団子だけでなく、書き初めを燃やすと字がうまくなるといわれていました(平成16年[2004]1月9日)。                                                                      

 

今回も何か所かの事例を取り上げましたが、このほかにも各地の毎年の様子は、博物館HPの「民俗の窓」に平成22~28年[2010~16]度まで掲載しています(HPトップページ右上「リンク」→「博物館の窓」→「民俗の窓」)。

「民俗の窓」には撮影した各地区の状況のほか、市内外の道祖神の小屋などの特徴的な行事について触れています。また、どんど焼きだけでなく、さまざまな祭礼行事やそのほかの内容も記していますので、あわせてご覧いただければと思います。

カテゴリー: 民俗むかしの写真, 考古・歴史・民俗 タグ: パーマリンク