春の花は、フデリンドウやタンポポのようにまっすぐ上を向いて咲く花が目立ちます。でも、森の中を歩くと、うつむいて咲く花にもよく出会います。博物館のお隣の樹林地では、シロバナハンショウヅルが咲きだしました。
園芸植物のクレマチスに近い仲間で、つる性の樹木です。新緑の木陰でひっそりと咲く姿はあまりにも美しく、この花を見つけるとしばらくの間、見とれてしまいます。
こちらはアケビの花です。やはりつる性の樹木で、渋めの紫色の花が釣り下がるように咲きます。
さらに渋いのは、ヒメコウゾです。クワの仲間で花弁はありませんが、おしべの葯(やく)が目立ちます。
人間はうつむいて咲く姿につい物語を想像してしまいますが、下向きに咲くのは、目立ちたくないからとか、奥ゆかしいからといった理由ではありません。おそらく、花粉を媒介する昆虫との関係など、それぞれの戦略に沿った姿なのでしょう。