5月9日のブログで紹介したゴミグモ、エントランスでの展示を続けていましたが、どうもうまく網を張ってくれなくなり、今日はついに3匹目に選手交代となりました。
最初の個体は、網は張っていたのですが、日曜日と月曜日の2日間、夜もカバーをかけずに放置していたところ、逃亡してしまいました。2番目の個体は脱皮後にタテ糸しか張らなくなり、エサのやりようがなく、あまりにもやせ細ってしまったので、逃がしてやりました。
ところが…部屋に戻ってみると、ちゃんと手に取って逃がしたはずのクモが、水槽のへりを歩いているではありませんか!これは…もしかして逃亡したはずの初代ではないか!あんなにくまなく水槽の中をライトで照らしながらチェックしたのに、いったいどこに隠れていたのでしょう。まるで忍者です。
そして、よく見るとさらに驚くべき事実が…こ、これオスじゃん!!
何が驚きかというと、捕まえてきた時は亜成体だったので、ぱっと見た感じメスのように見えていました。最終脱皮をして、オスらしい体型(黒っぽくて、体は細め)に変わったのです。メスだとばかり思っていたので少々意表をつかれたという事、そして、なんといってもオスは自分の網から出て、メスの網に求愛にいくものなのです。つまり、網をちゃんと張らなくて当たり前、逃亡しても当たり前なのでした。そういえば、さっき逃がした2代目も黒っぽくて細かった…しかも脱皮直後に黒くなった気がする…と、思い当たる事ばかり。
思ったよう網を張ってくれず、生態展示は大変だなあ、生き物を展示している昆虫館とかはすごく苦労してるんだろうなあ、とぼんやり考えていましたが、またしても観察不足と思い込みを思い知らされる出来事でした。
と、いうわけでまだ展示は続けています。決して珍しい生き物ではありませんが、面白い形をしているので、来館の際にはぜひご覧ください。(学芸班 木村)
メス。薄茶色といったら良いでしょうか。
メスの網に進入したオス(写真右上)。網を振動させてメスに求愛の合図を送っているところ。メスは写真左側の白っぽいゴミの中にいます。