現在のようなプラスチック製の入れ物が使われる以前には、物を入れ、あるいは運ぶための容器として、竹製の籠(かご)や笊(ざる)は日々の生活で欠かせないものでした。博物館でも多くの籠や笊類を保管しています。
博物館には、普段は展示していない多くの資料を保管している収蔵庫(しゅうぞうこ)というスペースがあり、最初の写真は収蔵庫の中の籠や笊の一部です。
さまざまなものが写っていますが、一番上と二段目までは養蚕で蚕の餌である桑の葉を摘む時に、その葉を入れるのに使った「桑摘みびく」で、養蚕地帯である市域ではどの家にでもあったものでした。また、三段目と四段目には、いろいろなものを入れるのに使われた籠や笊が置かれています。
前回のブログでは、自然・歴史展示室にある開墾農家の屋根の上の植物を紹介しましたが、「くらしの姿」の物置内部には、落ち葉を掻き集めるのに使われた大きな籠(緑区川尻)、さらに桑摘みびく(南区磯部)も養蚕のコーナーに展示していますので、ご来館の際には是非見学いただければと思います。
最後の写真は、銭湯などで脱いだ服を入れる湯屋籠(ゆやかご・南区下溝)です。普通の籠などは竹を細く割って編みますが、一般にメダケと呼ばれる細い竹を丸竹のまま割らないで作っていきます。
南区下溝・古山地区には、農閑期の冬場を中心にこの籠を作る人が第二次世界大戦の頃までいました。材料のメダケは地元にはないためどこからか取り寄せ、できたものは横浜あたりに自転車で運んでいたそうです。こうしたちょっと珍しい籠なども保管しています。