7月2日、麻布大学獣医学部動物応用学科の学生さん約20名が実習実験室に集まりました。野外動物学の実習を博物館で行うためです。野外と言っても、この猛暑の中での野外活動は危険です。できるだけ室内での作業を行いました。そして、動物学の実習ではありますが、博物館で行うからには、動物に限らず博物館資料を広く扱いつつ進めます。まずは、植物標本を使った実習です。博物館資料としての標本の意義などを講義で学んだ後、実際にヒルガオとコヒルガオの標本を見ながら種の識別をします(標本ラベルの種名の表記が隠されています)。
この両種はとても身近な雑草ですが、意外にも識別は困難を極めます。標本をたくさん集める理由、つまり、植物にもそれぞれ個体差があり、図鑑にピッタリ一致するものばかりとは限らないことを実感してもらいます。
続いて、博物館お隣の樹林地に出て植物採集です。
30度を超える暑さでしたが、風が少しあるのと、やはり樹林内の木陰は耐えられないほどのコンディションではありませんでした。それでも、長い時間の活動は危険なので、ちょっとだけ自然観察をしてから室内へ戻りました。下の写真は、植物の茎に止まるアオバハゴロモの幼虫を観察しているところです。
白い粉のようなものが、手を近づけるとツツツ・・と茎の裏側へ回り込むのを見ています。「かわいい!」と好評でした。
室内へ戻り、標本ラベルを記入して標本を整えた後は、お昼休憩です。
午後からは、動物標本を使った実習です。鳥類のはく製を各グループで観察し、部分のスケッチをします。そして、同じところ、違うところ、「なぜ?」と思ったところを書きだします。
さすが、生物学を専攻している学生さんたちなので、スケッチはとてもよく描けていました。
そして、グループ内で観察した内容を発表します。
ここで重要なのは、聴いている人と共通認識が得られる表現ができているかどうか、です。自分しか認識できない表現、例えば、見ている角度によって変わってしまう見方や、主観的な見方、指示した部位が明確でない表現などが指摘されます。
戸惑いつつも、順番が進むにつれて言葉を慎重に選びながら発表してくれました。
知識に頼るのではなく、今、目の前にある標本をどのように観察し、それを表現するかというちょっと難しい課題でしたが、みなさん真剣に取り組んでくれました。