オオヤドリカニムシ

7月16日、生きものミニサロンの参加者のお一人が、自宅の庭で拾ったというアカネズミを検体としてご持参くださいました。ネコが捕まえて持ち込んだようです。野生の哺乳類は、たとえネズミやモグラであっても許可なく捕獲することはできないため、こうした検体のご提供は博物館にとってとても重要です。ありがたくいただきました。その際に「カニムシのようなものがたくさんついていました」とのことだったので、早速検体を調べてみると・・

オオヤドリカニムシ 左側の脚に餌?のダニがついていました

まさしくカニムシ!土壌動物としても人気があり、観察会でカニムシが出現すると大変盛り上がります。それがなぜ、ネズミの遺体に?と疑問がわき、「がろあむし展」でもお世話になった土壌動物を得意とする写真家の吉田譲さんに問い合わせました。するとすぐに「オオヤドリカニムシです!」とのお返事がきました。“宿り”と名につく生物は寄生性のものが多いのですが、このカニムシは寄生するわけではなく、ネズミなどにつくダニを食べているのではないかと推測されています(吉田さんによると、実際は捕まえられるものなら何でも食べるとか)。そのため、食料が安定して供給されるネズミに、コバンザメのようにくっついていたようです。吉田さんも、ネズミの死体にたくさんくっついているのを見たことがあるそうです。それにしてもこのカニムシ、大きいです。

メモリは0.5ミリメートル刻みです

体長は4.5ミリメートルくらいあります。野外で見るものはこの半分くらいの大きさのものが多く、なかなか迫力のある姿ですね。カニムシの仲間は昆虫ではなく、4対の脚に、大きなハサミのついた触肢を持ち、大きな分類ではクモやサソリ、ダニなどと同じ仲間になります。
ふだんあまり見る機会の無い生物のうえ、メカニックな体つきがかっこよく、一緒に観察したミニサロンのスタッフのみなさんと大いに盛り上がりました。

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