前回、冬の寒い時に布団(ふとん)の足元に入れる湯たんぽを紹介しました。この湯たんぽはブリキ製でしたが、このような金属製になる前には陶器製のものが使われていました。
写真の湯たんぽは南区下溝の女性からの寄贈で、第二次世界大戦前に出産した際に、淵野辺の実家の父親が12月で寒いだろうということで持ってきてくれたものです。夜に布団に入れると、朝には湯たんぽの中の湯がぬるくなっていて、ちょうど顔を洗うのによかったそうです。
次の写真はいずれも緑区橋本の同じ家からいただいたもので、向かって右側が陶製、左側がブリキ製です。陶製の湯たんぽは円筒型のほかに、ブリキと同じく波のような形のものもあり、この方が表面積が広く暖かい部分が多くなります。
昭和30年(1965)代になると、こうした湯たんぽに代わって豆炭(まめたん)を入れた行火(あんか)が使われるようになります。写真の行火は、やけど防止の専用カバーが付いていて、湯たんぽと同じように行火が直接肌に当たるのを防ぎました(収集地・南区相模台)。カバーは子どもの古着などで、自家で作ることもありました。
次の写真は中に豆炭を入れたところです(収集地・中央区星が丘)。豆炭は石炭(せきたん)の粉を練り固めたもので、燃える時に煙(けむり)が出ず、また、一晩中暖かいという長所がありました。参考に、左側に豆炭を置いて撮影しました。
さらに電気で温める行火も使われるようになり、写真の製品名は電気こたつで、昭和30年代に購入して平成になる頃まで使用していたそうです(南区相模台)。
現在では電気毛布をはじめ、羽毛(うもう)布団なども登場して寝具の保温性を高めていますが、かつて寒い夜を暖かくして寝るために使われた道具にも移り変わりがありました。