博物館収蔵資料紹介~火鉢などで使う道具

これまで取り上げてきたように、行火(あんか)や火鉢にはいろいろな形のものがあります。

次の写真は、博物館の五テーマ「地域の変貌」に展示してある資料で、手前の右側が行火(収集地・緑区下九沢)、その左側が角火鉢(中央区上溝)です。そして、奥に引き出しも付いた大型の長火鉢(中央区田名)が見えています。                 

なお、写真で手前の角火鉢の左にあるのは、丸い金属の部分に炭を入れ、布のしわを伸ばすために使った「ひのし」(中央区)で、後ろの長火鉢の右に見えるのはラジオ(中央区淵野辺)と扇風機(中央区上溝)です。

 

次の写真は、左側は金属製(緑区橋本)、右側は陶器(緑区宮下本町)の火鉢です。特に陶器の火鉢は、かつて結婚式などを自宅で行っていた頃に、訪れる多くのお客さんの暖房用として数多く必要で、個人の家ではなく地区で共同で保管していたものです。                 

 

火鉢には灰を入れ、その上に炭を置いて使いますが、火鉢の必需品とされていたものが、写真右の炭をつかむ「火箸・ひばし」(緑区上九沢)、写真中の灰をきれいにならす「灰ならし」(中央区上溝)、写真左の火鉢の中に置く台である「五徳(ごとく)」(南区当麻)です。五徳は足の部分を下にして立たせるようにして使うものもありました。                  

 

次の写真は、火鉢に五徳を据え、湯を沸かす「鉄瓶・てつびん」(南区当麻)を乗せたもので、火箸と灰ならしも置いてみました。このように火鉢は手をかざして温めるだけでなく、鉄瓶やヤカンでいつも湯を沸かしていました。                   

 

また、火鉢に限らず焼けた炭などを運ぶものに「十能(じゅうのう)」がありまず。写真の右側(緑区上九沢)はスコップのような形をしており、左側(南区相南)は運ぶだけでなく、丸い鉄の部分に炭を入れて直接火にかければ炭に火が付きます。                  

 

このように、一口に火鉢と言っても、関連するさまざまな道具とともに使われていたことが分かります。博物館には、このほかにもかつての生活で使われていたさまざまな道具を展示しており、皆様のご来館・ご見学をお待ち申し上げます。

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