9月8日が9(く)と8(わ)のごろ合わせから「桑の日」ということで、クワの木について紹介する記事の第二弾です。
ここではクワの木に集まる興味深いムシたちを取り上げます。まずはこちら、その名もクワコ。写真はその幼虫(終齢幼虫)です。
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クワコの終齢幼虫
カイコに最も近い蛾の仲間で、中国大陸に分布するクワコと、現在私たちが飼育するカイコは同じ祖先であると言われています。カイコは成虫になっても飛べませんが、クワコは野生の蛾なので、成虫は飛べます。成虫の姿はやはりワイルドでかっこいいですね。
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クワコの成虫
続いてこちらは、クワキジラミの幼虫です。
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クワキジラミの幼虫
キジラミとは、樹液を吸って生活する、セミやカメムシと同じ仲間の昆虫です。この仲間は、おしりからロウ状の物質を出して、なにやらモジャモジャしたものをくっつけることがあり、クワキジラミも、クワの葉裏に集って白くモジャモジャ?しています。なぜこのようなモジャモジャを付けているのかよくわかりませんが、外敵からの防御の意味があるのかもしれません。
そして、こちらは近年分布を広げてきた昆虫で、ハラグロオオテントウという国内最大のテントウムシの仲間です。体長は1センチメートル以上あります。
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ハラグロオオテントウ
このテントウムシは、クワキジラミを主食としています。この5年ほどの間に神奈川県内でも見られるようになり、博物館のクワの木では、2019年の春に初めて確認しました。クワキジラミは、カイコの飼料となる葉を傷めてしまうため、養蚕の立場では害虫ということになります。そのクワキジラミを食べるハラグロオオテントウ、もはや相模原では産業としての養蚕は行われていないので益虫とも言えないかもしれません。しかし、クワの木が多い地域なので、これからハラグロオオテントウもおなじみの昆虫となっていくかもしれませんね。春から初夏だけ発生する昆虫なので、来年の春、少し大きめのクワの木を注意深く探してみてください。