9月26日、市内の公園に咲くタイワンホトトギスの花に、小さな鳥のように見える虫が飛んでいました。
美しい色彩と顔つきが、アメリカ大陸に多くの種類が知られるハチドリのように見えます。しかし、これはれっきとした昆虫で、ホウジャクという蛾の仲間の一種です。ホウジャク(蜂雀)と名にあるように、実際はハチに擬態していると言われています。それでも、その動きはまるでハチドリのようで、高速で翅(はね)をはばたかせてホバリングしながら、タイワンホトトギスの花に長い口吻(こうふん)を差し込んで蜜を吸っていました。
ホウジャクの仲間にはいくつかの種類が知られていますが、この飛翔写真では種類までは確定できませんでした。また、この仲間は「空飛ぶエビフライ」とも言われることがあります。腹部の先が扇状になっていて、それがエビフライのしっぽのように見えるからです。
眼もちょっと鳥のように見えますが、これは偽瞳孔です。複眼が、その構造上、瞳孔のように見えているもので、カマキリやキリギリス、ナナフシの仲間などでもよく知られています。
蛾のイメージを根底から覆すようなホウジャクや、近縁のオオスカシバなどの蛾の仲間は、意外と身近な昆虫です。穏やかに晴れた日中などに公園や花壇の花をよく訪れるので、探してみてはいかがでしょうか。