身近で楽しい自然観察を

10月8日、博物館で「さがみはら緑の風(自然観察指導員相模原連絡会)」の観察学習会が行われました。博物館で毎月実施している生きものミニサロンのサポートスタッフを務めてくれている自然観察指導員もいることから、指導員初心者を対象に定期的に開催する学習会に協力し、学芸員が講師を務めています。
今回は、「得意な”定番”を持とう!」を合言葉に、観察会のプログラムとして「すぐにできる持ちネタ」を身に着けてもらうことをテーマにしました。40分ほど室内学習を行った後、早速博物館の駐車場へ出ます。まずは、定番プログラムの「落ち葉のグラデーション」を体験してもらいます。

全員で力を合わせて葉っぱの環を作ります

これは生きものミニサロンでも度々取り上げているテーマで、参加者が拾い集めた落ち葉を、似た色を隣同士に置いて、環(わ)を作ってもらいます。その手順を少し工夫することで、スムーズに、「落ち葉の形や色の多様性を感じ取ってもらう」という主旨が参加者へ伝わります。完成はこちら。

マンホールに合わせて環を作りました

立ち上がって真上から見ると、ハッとするほど美しい環ができています。
じっくり見ても、中にはこんな複雑な色合いの落ち葉もあることに驚きます。

複雑で鮮やかな色合いに驚きました

他にも、季節ネタということでドングリやジョロウグモをテーマに観察をしました。
そして、午後は受講者が自分で考えたプログラムを披露します。その一つは、葉っぱに描かれた不思議な模様についての観察です。

“字書き虫”に模様が付けられた葉

「字書き虫」などと呼ばれる、昆虫の幼虫の食痕です。これもよく見てみんなで意見を出し合うことで、食べ方や、幅の変化など、様々な気づきがありました。中には、字書き虫(ハモグリバエの仲間)の正体を見つけた人もいました。

法則性が無いようで、ある?

さらに別の受講者は、つる植物をテーマに観察しました。いろいろな巻き付き方がある中で、ヤブカラシの巻きひげに注目してみると・・

中央で巻き方向が逆転!

なんと、コイル状の巻きひげの真ん中で、巻き方向が逆転しています。これは偶然そうなったのではなく、どの巻きひげも同じように逆転していました。どのようにコイルができるのか、なぜ逆転しているのかなど、全員で考えました。
もちろん、答えは人間の想像の域を出ませんが、そうして身近な自然の不思議に気づくことが大切なのです。それぞれのプログラム終了後には、全員で感想や改善点など話し合い、どうやったら参加者にもっと楽しんでもらえるか検討しました。
学習会終了後、全員が「ほんとうに楽しかった」と感想を述べてくれました。その楽しさを、これから地域の自然観察会や生きものミニサロンで再現してくれたら嬉しいですね。

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