博物館周辺の樹林地に生息する哺乳類は、タヌキ、アナグマ、ハクビシン、アカネズミ、アズマモグラ、アブラコウモリが挙げられます。さらに、トレイルカメラ(自動撮影装置)に稀(まれ)に写るものには、ネコ、アライグマ、イタチがいます。
これらの中でも特にアナグマはちょっと興味深い存在です。
この写真は以前、野鳥の写真を撮影している時に、たまたま一瞬現れたところを撮ったものですが、トレイルカメラには夜間にかなりの頻度で写ります。タヌキやハクビシンは市内全域で普通に生息していることがわかっていますが、アナグマは山間部や段丘崖などに限られていて、平地の樹林では確認できていませんでした。博物館周辺の樹林地に生息していることも、6年ほど前にトレイルカメラに写るまでまったく気づいていませんでした。
今回、住宅地の中の樹林地で、アナグマがどのように生息しているのかを調べようと、麻布大学動物応用科学科野生動物学研究室のみなさんが、博物館と共同で調査を開始しました。11月12日には8名の学生さんと指導教官の塚田英晴教授、そして生物担当の学芸員が樹林に入りました。すると・・
発見されたアナグマの巣穴です。倒伏したヤマザクラの下に穴を掘っています。これまで、古い下水道跡などを利用して生活している様子がトレイルカメラの映像によって明らかになっていましたが、こうして自力で巣穴を掘っていることも今回の調査でわかりました。
また、フンもいくつか見つかり、食性についても手掛かりがつかめそうです。これからさらに調査を進め、アナグマをはじめ、そのほかの哺乳類も含めて生活の様子を解明していきたいと思います。