先日このブログで、市内南区の勝坂遺跡で野鳥がエノキの果実をついばんでいたとお伝えしました。その時はうまく写真を撮れなかったのですが、その後、相模原市のお隣、座間市の県立座間谷戸山公園で、エノキの果実をむさぼるように食べるイカルの群れに出会い、写真を撮りました。
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エノキの果実を食べるイカル
10羽ほどのイカルが、エノキを探しながら飛び回り、見つけるとしばらくその木にとどまって食べていました。
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細い枝先はとまりにくそうでしたが、身をよじって食べていました
エノキは市内の緑地でもよく見られる木です。かつては相模原市の木であるケヤキと同じくニレ科に分類されていましたが、遺伝子レベルの系統解析の結果から、現在はアサ科とされています。ケヤキとエノキはどちらも大木になりますが、ケヤキが扇形に枝を広げるのに対して、エノキは半円形に丸く枝を広げます。勝坂遺跡公園には、「この木なんの木?」と思わず口ずさみたくなるような美しい大木があります。
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勝坂遺跡のエノキ(5月に撮影)
エノキの大きな特徴は、葉脈(ようみゃく)にあります。ケヤキの葉と比べるとよくわかりますが、魚の骨のように真ん中の太い主脈から横へ並行に側脈が伸びるのがケヤキで、このタイプは多くの樹木の葉に見られます。一方、エノキは葉の付け根付近から三差路が連続するように伸びる、独特の葉脈です。このような葉脈を三交脈(さんこうみゃく)と呼びます。
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エノキ(左)とケヤキ(右)の落ち葉を裏面から見たところ
エノキは春から夏も野鳥が集まります。葉に虫がつきやすいのか、エノキの枝上でムクドリなどの野鳥がイモムシを食べる姿をよく見ます。野鳥にとって、食べ物を供給してくれて、さらに細かく広がる枝ぶりは、巣を作る場所としても適しています。
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エノキでイモムシをつかまえるムクドリ(5月に撮影)
そして私たちにとってなじみ深いのは、一里塚に植えられる木であるということでしょうか。現在、館内で開催中のミニ展示「相模原にもあった!?徳川家康ゆかりの地」でも、市内南区新戸(しんど)の一里塚が紹介されています。残念ながらこの一里塚のエノキは、江戸時代に枯れてしまったそうです。
雑木林はもちろん、公園や学校など、身近なところにも多い木です。この季節なら、落ち葉を目印に探してみてはいかがでしょうか。