野鳥の標識調査

毎年、博物館お隣の樹林地で野鳥の標識調査を実施しています。これは、標識調査の資格を持った人(バンダー)がカスミ網で野鳥を捕獲し、足環(あしわ)を付けて放鳥するものです。その足環が今後、どこかで回収されると、その野鳥の移動や生きた年月が明らかになるもので、環境省が山階鳥類研究所に委託して行っている専門的な調査です。今年も2月6日から7日にかけて実施しました。
捕獲調査なので、ふだん近い距離で見ることがあまりない野鳥を、間近で観察できます。例えば、タカの仲間のツミです。

ツミ(オス)

精悍(せいかん)な顔つきで迫力満点ですが、ツミは国内のタカ類の中で最小です。これはオスなので、ヒヨドリくらいの大きさしかありません(タカの仲間の多くは、オスよりもメスの方が大きいのです)。
こちらはトラツグミです。普段は薮(やぶ)の中にいてあまり姿を見せてくれないので、こうして近くから見ると、その美しさ、堂々たる大きさに圧倒されます。

トラツグミ

こちらはエナガです。双眼鏡ごしに見ていても小さな鳥ですが、間近に見ると改めてその小ささに驚きます。

エナガ

こちらはシメです。頭部の黄金色が美しいオスです。

シメ

よく見ると、翼の先端近くに青紫の光沢が見えます。こんな色合いも、間近でなければなかなかわかりません。
さらに今回は、足環のついた鳥の再捕獲が多くありました。中でも、2020年1月に同所で足環を付けたシロハラが捕獲されました。シロハラは日本では冬鳥で、中国東北部からロシア沿海地方にまたがる繁殖地のどこかの地域と、この場所を3往復半していることになります。なんとも感慨深い“再会”となりました。
こちらは捕獲はできなかったのですが、調査ステーションの真上に飛んできたリュウキュウサンショウクイです。

リュウキュウサンショウクイ

この鳥は近年になって東日本へ分布を広げてきた注目の野鳥です。神奈川県内では繁殖も確認されていて、この鳥の季節移動の実態がどうなっているのか注目されています。標識調査ができれば、そうしたことの一端も見えてくるかもしれません。今後、この鳥にも標識を付けられたらと、新たな目標もできました。
寒い中、早朝からの作業でしたが、いろいろな成果が出て充実した調査となりました。

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