「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その3

現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示中の資料を紹介します。

今回は町田市「なすな原遺跡」の出土品を紹介します。展示では、神奈川県周辺の良好な資料として同遺跡の晩期の土器、石器を展示しています。いずれも町田市教育委員会所蔵です。

晩期の土器 高さ29㎝

晩期の土器 高さ31㎝

晩期の土器。4つの突起が印象的です。高さ:21㎝

晩期の土器は中期の勝坂式土器のように粘土紐を多用した立体的な文様や、あふれる躍動感はないものの、沈線や細かな縄文が施文されており、どことなく静的な印象を受けます。いずれの土器もどの部分に縄文があるのか、探してみるのも面白いかもしれません。

矢尻などの石器。右下は信州産の黒曜石を用いています。

縄文時代後~晩期になると矢尻が多く出土します。写真右の2点は異形石器と呼ばれるもので、祭祀に用いられたと推測されます。どちらも押圧剥離で丁寧に作られています。

押圧剥離のやり方。鹿角を使った復元です。

 

耳飾り(いずれも複製)

こちらの写真は土製耳飾りです。単なる棒状ではなく、精緻な彫り込みがみられます。
後期の終わりごろから晩期にかけて耳飾りを中心に、装身具が多く使用されるようになります。

縄文時代が終わりに近づく晩期は今からおよそ3200~2400年前であり、遺跡数も中期と比較するとかなり減少していた時期になります。本展示は晩期を生きた人々の痕跡を土器、石器などから知る良い機会です。じっくりご覧ください。

本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。

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