現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示中の資料を紹介します。
今回は川崎市「下原遺跡」の出土品を紹介します。この遺跡は「しもっぱら」と読み、縄文時代中期~晩期、弥生時代後期、古墳時代前期と複数の時代が発掘調査で明らかになっています。晩期の様相を示す県内でも有数の遺跡であり、今回の展示では土器を中心に展示しています。いずれも川崎市教育委員会所蔵です。
縄文時代によく使用された深鉢形です。
こちらは台がついた土器で、Y字状の切りこみがあり、そのまわりに沈線をつけています。
中にはこんな小ぶりの土器も。左は深鉢をそのまま縮小したような形ですが、しっかりと縄文が施文されています。右は香炉形と呼ばれ、立体的な装飾がみられます。どちらも祭祀で使われた可能性があります。
こちらは「土版(どばん )」(複製品)です。こちらも祭祀の道具と考えられています。
肉厚で歪んでおり、沈線で文様を表現しています。縄文人がなにを表現したかったのか、気になります。
後期の終わりから晩期にかけて使用された耳飾りも展示しています。
下原遺跡では正方形の竪穴住居が3軒みつかっており、いずれも重複しています。おそらくは住居の建て替えが行われたと考えられています。住居数3軒はかなり少なく、当時の人口の少なさがよくわかります。
今回紹介した資料は、県内の縄文時代の晩期を物語る貴重な資料ですので、この機会にじっくりご覧ください。
本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。