毎年恒例の、カイコの飼育が今年も始まりました。
茨城県にある大日本蚕糸会蚕糸科学技術研究所から購入した蚕種(さんしゅ=カイコの卵)が5月30日に届きました。
6月1日ころに飼育を開始できるよう調整されているので、5月30日~6月1日にかけてほぼ、ふ化が完了しました。
最初にふ化したカイコから餌のクワの葉を与えると成長がばらついてしまうため、だいたい出揃うまで給桑を待ちます。
給桑は、ふ化したカイコの上に葉をのせるだけです。
においを感じたカイコが、自分から葉の方へ寄って来るためです。上の写真はのせた直後で、下はその1分後です。すでにカイコが群がっているのがわかります。
大量に飼う場合は、カイコが食いつきやすいように葉を短冊状に切って与えるのですが、ふ化したばかりのカイコは葉の表面から食いつくことができるので、数百匹程度の飼育であれば、葉のままあげても問題ありません。
給桑開始のことを、養蚕の専門用語で「掃き立て」と言います。これは、ふ化したカイコを飼育容器などへ移す際に、羽ぼうきを使って掃き落とすためです。
そして、飼育展示も開始しました。1階エントランス(休憩コーナー付近)で展示しています。
体長が3mmほどなので、ルーペ越しに見ないとよく見えません。
さらに、博物館から蚕種を提供して学習を始める小学校への出張授業も始まりました。
授業では、カイコを飼うということが農業であり、ペットの飼育と違うことをお伝えします。これについてはまた詳しく報告いたします。
これから約1か月、カイコの成長をお伝えしていきます。
(生物担当学芸員)