6月1日から給桑を開始したカイコは、27日~28日にかけて熟蚕となりました。下の写真の左側が熟蚕、右がまだ熟蚕になりきっていないカイコです。色や大きさの違いが明瞭です。熟蚕になると、大きさが少し縮んで黄ばんできます。
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左が熟蚕のカイコ、右がまだ熟蚕になりきっていない5齢のカイコです
熟蚕になると、クワを食べずに頭を振り続けます。
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熟蚕になって頭を振るカイコ
よく見ると、すでに糸を吐いています。カイコの糸(繊維)は、体内では液体で、空気に触れると固まります。
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糸を吐くカイコ
このような状態のカイコは、蔟(まぶし=繭を作らせる場所)へ移します。博物館では、薄いダンボールを切って井桁(いげた)に組んだものを自作して蔟にしています。はじめは落ち着かずに蔟の上を歩き回ってしまいますが、丹念に入れ戻してあげているうちに、繭を作り始めます。蔟の中で糸を吐く様子を見ていると、熟蚕がなぜ頭を上に向けて振っていたのかわかります。このようにしたかったんですね。
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蔟に入れたカイコ
繭は作り始めて2日で完成します。
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蔟へ入れた直後の状態
上の写真は6月28日の夜、蔟へ入れた直後、下の写真は、翌日の朝の様子です。
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半日経った様子
すでに繭の形がうっすら見えています。
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すでに繭の形が見えます
この蔟は、博物館のメンテナンス休館(6月27日、28日)から明けた29日、飼育展示でお見せしています。繭が透けて見える状態は、1日の間しか見ることができません。ただし、飼っているカイコの成長には全体で1~3日程度のばらつきがあるため、今週末までこのような状態で繭づくりの様子をお見せすることができそうです。ご来館の際にはぜひじっくりご覧ください。