水で巣内を冷やすアシナガバチ

先日、このブログで博物館中庭でのキアシナガバチの巣作りを紹介しました。その巣も徐々に大きくなり、働きバチの数も増えてきました。そんな中、この猛暑の中で興味深い行動を観察できました。

キアシナガバチの巣

アシナガバチやスズメバチの仲間は、巣内の温度が上がりすぎると卵や幼虫が死んでしまうため、温度を下げる必要があります。一説には、巣内が33度を超えると冷却を始めると言われています。よく見られるのは、巣の内部に向けて翅(はね)を震わせて風を送る行動です。もう一つは、水滴を入口に付けて、その気化熱で冷やすという方法です。博物館の巣をよく見ると、しっかり入口に水滴がついています。

巣の入口についた水滴

働きバチが、口に水滴を含ませて、それを運んでくるそうです。映像などでよく知られた行動ですが、実際に巣に水滴がついている様子は、間近に観察できなければ見るこちはありません。来館者の方も、「怖いもの見たさ」もあるのか、長い時間巣の様子を観察されていました。

観察する来館者

人間にとって怖い存在のアシナガバチですが、巣を見ていると、頻繁に虫の肉団子を運び込んできます。ハチがいなければ、博物館周辺のイモムシなどの数もコントロールできないのだろうなと感じます。間近で観察することで気づくことがたくさんあることを実感しています。
(生物担当学芸員)

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