7月22日、相模原市南区の上鶴間公民館の教養講座でお話をしてきました。テーマは「牧野富太郎博士の功績と、相模原の植物」です。
NHKドラマの主人公のモデルとして脚光浴びる牧野富太郎博士について、日本の植物学の発展にどのような貢献をしたのか、また、博士がこだわった標本の意義、学名のきまりなど、ドラマを見るうえで知っておきたい情報を紹介しました。講座の定員は30名でしたが、申込み開始からすぐに定員に達してしまったそうです。当然ながら、参加された方のほとんどがドラマをご覧になっているとのことでした。
実物の標本や牧野図鑑を持ち込んだため、休憩時間には標本を取り囲んでの植物談義も。
一部、植物分類学の専門的な内容も交えた内容でしたが、みなさん熱心に耳を傾けてくださいました。最後に、牧野博士にゆかりのある、相模原の植物も紹介しました。牧野博士は、記録にあるだけでも数回、相模原市域を訪れています。そのうちの1回は、1922年6月4日に与瀬駅(現在のJR相模湖駅)から相模川の渓谷で採集し「サツキ〈野生品〉ヲ採ル。又ヤシャゼンマイ多シ サツキハ花盛リナリ」と書き記しました。
現在はダム湖となっている渓谷ですが、博士が訪れた頃はどんな様子だったのか、想像が膨らみます。
ドラマも中盤に差し掛かっています。植物学や標本、学名といった専門的な事柄の理解が進むのも大変ありがたく、博物館でも折々に牧野富太郎博士の業績を取り上げていきたいと思います。
(生物担当学芸員)