予想では水曜日頃に熟蚕(繭を作り始めるカイコ)になるかと思っていたら、早くも今日、盛んに糸を吐き始めるカイコがあらわれました。熟蚕の特徴は、体がやや縮んで張りがなくなること、全体的にやや透き通るような飴色になることです。まだ熟蚕になっていないカイコ(右側)との違いがわかるでしょうか。
そして何より、それまでおとなしくひたすら目の前のクワを食べ続けていたカイコが、ウロウロと動き回り始めます。そして、容器の角で頭を振り始めたらもう繭づくりに入った証拠です。そんなカイコを見つけ次第、まぶし(蔟)へ移していきます。
上の写真は、当館オリジナルの「簡易型吊りまぶし」です。ダンボールを横に倒し、テグスで段ボール製のまぶしを吊っています。カイコは一生のうちに2回尿をしますが、その1回目が繭をつくる途中です(2回目は成虫に羽化後)。ほかの繭に尿がかかると黄色く染まってしまうので、このように浮かせています。また、カイコはどうしても角で繭をつくりたがるので、接地していると角を求めてほかの場所へどんどん動き回ってしまいます。それを防ぐ目的もあります。
さて、今朝、クワを摘んでいたらこんなものを見つけました。
カイコよりもずっと小さく(長径約2センチ)、黄色い繭です。これは、クワコの繭。カイコの祖先も、はじめはきっとこんな大きさだったんでしょうね。
(生物担当学芸員 秋山)