博物館の駐車場はフェンスで囲まれています。そのフェンス沿いは、つる植物の宝庫です。夏の終わりになると、そこに白い花がたくさん咲きだします。そのうちの1つが、センニンソウです。
キンポウゲ科のつる植物で、クレマチスの仲間です。真上を向いた純白の花が群れて咲く姿はなかなか見ごたえがあります。
そして、花だけ見ると同じように見えてしまいますが、こちらはコボタンヅルです。
これだけ花がそっくりな近縁種が、同じ季節に隣り合うように(時にお互い絡み合いながら)咲くのもちょっと不思議ですね。どのような種分化の歴史があるのでしょうか。
両種は、実は葉の形が異なるので見分けるのは簡単です。センニンソウは葉に鋸歯(縁のギザギザ)がありません。
一方、コボタンヅルははっきりとした鋸歯があります。
日中の暑さからは秋の訪れをまったく感じることができませんが、植物の世界は着実に秋へと向かっています。
(生物担当学芸員)