秋の田名望地を歩きました!

9月26日、田名公民館の主催事業「相模原市立博物館の学芸員と一緒に田名散策~小さな秋みつけよう@田名地区~」が実施され、生物担当学芸員が講師を務めました。相模川の段丘崖(だんきゅうがい)下に広がる田名望地(たなもうち)の水田地帯は今、イネの実りの季節です。

秋の望地の風景

遠近感のある段丘崖を背景に、黄金色に染まった水田が広がります。気温は少し高めであるものの、景色はすっかり秋です。
今回、生きものを中心に紹介しましたが、特に見どころとしたのは、こちら。

市域の赤トンボを代表するアキアカネ

赤トンボです。最近は、スマホで写真を撮って検索すると、AIが即座に「それは何か」を答えてくれて、生きものもそうして種名を調べることができます。一昔前までは、「未来のツール」のように思われていたものが現実となりました。しかし、それほど細かいところまではまだ教えてくれないことは、この赤トンボがよい例です。スマホでこのような写真を撮れたとしても、種名まではわかりません。上の写真は、赤トンボで総称されるトンボの中の、アキアカネです。
そして、この日はアキアカネの他にも、ナツアカネを見ることができました。

ナツアカネ

見分けるポイントは、胸や頭も真っ赤になることなどですが、現在のところ通常のAIではそこまで識別できないことを、参加者のみなさんにも説明しました。そして、集合場所のすぐそばにあったこちらも。

水路の上にあったクモの巣

上の写真はマニュアル操作できるカメラで撮影したため、黄金色のクモの巣が写っていますが、スマホはこうした写真を撮るのがもっとも苦手とするところです。このように「スマホ頼り」にせずとも秋を感じる楽しさがあることを説明した上で、望地を歩き始めました。堤防上から見る段丘崖の景色は格別です。

見事な遠近感の望地の段丘崖

いろいろな秋の生きものを観察しましたが、その中の一つはクサギの果実です。

クサギの果実

黒紫色の果実が熟すころ、萼片(がくへん)が赤くなって果実を目立たせる「二色効果」の典型的な例を紹介しました。その他にも、今週の十五夜に向けて「真のススキの見分け方」などを解説しました。ちなみにこれもAIでは教えてくれない生きものの識別なので、また改めてこのブログで紹介します。
歩くと少し汗ばむ暑さでしたが、生きものの姿から感じられる、秋の散策を楽しみました。
(生物担当学芸員)

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