1月の仕事始めに、相模川の河原へ調査に行ってきました。
ここは、市域の相模川を象徴する絶滅危惧種、カワラノギクの自生地でもあるのですが、「カワラ」と名につく植物がほかにもあります。こちらのカワラハハコ(キク科)です。
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カワラハハコの花
カワラノギクのように分布が限られている植物ではありませんが、同じような環境に生育し、県内では分布域が著しく減少しているため、絶滅危惧Ⅱ類にランクされています。この自生地では、2018年まで県内最大の群落がありましたが、2019年台風19号で流失して以降、群落が回復していません。
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かつての大群落(2014年10月撮影)
現在はこのように、コセンダングサ、セイタカアワダチソウ、ススキが茂っています。
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現在の様子(2024年1月撮影)
わずかに残った場所は、流路から少し離れた場所にあり、シナダレスズメガヤなどの外来種の群落に飲み込まれてしまう恐れがあります。
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現在わずかに残された株は、シナダレスズメガヤやメリケンカルカヤの群落の中に生育しています
そこで、系統保存と増殖のために、採種(種子の採取)することにしました。
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カワラハハコの種子がついた花
カワラハハコの栽培は経験が無く少々不安ですが、造成地などに突然出てくることもあるため、日照を確保すれば生育するのではないかと考えています。
今年の秋には、嬉しい続報をお伝えできるよう、しっかり育てたいと思います。
(生物担当学芸員)
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